2015年2月8日日曜日

夜想

どこかの誰かの研究によると 
ほとんどの人は 
毎日何かしらの出逢いがあるそうだ 
それは運命の相手かもしれないし 
前世の恋人かもしれない 
ただ 
僕たちには知らされていない 
それがチャンスだと 

結局目の前の見えない壁を 
乗り越えたものだけが 
そのチャンスをモノに出来るのだ 

現実世界だとか 
バーチャル世界だとか 
分けて考えているうちは 
まだまだ壁は乗り越えられそうにない 



あの日の満月を 

独りで見た夜桜を 

学校の帰り道に寄った川の流れを 

卒業式に呑み込んだ好きの文字を 

もう一度思い出してみよう 

自分がいったい何を探しに旅に出たのかを 

その道が間違っていなければ 
その想いが本物ならば 
出逢えるかもしれないし 

運が良ければ 
夢も叶うかも知れない 

もう何も無いと思っていた鞄の中から 
希望が出て来るかも知れない 
諦めさえしなければ 






そんな都合のいい思いに 
身を委ねる夜があってもいい 

笑われながらも 
夢を見続ける人生があってもいい 



僕は我が侭で 
諦めの悪い人が好きだ 



そして泣きながらも 
前を見ようとする人が好きだ 




2015年2月4日水曜日

軌跡

歩いていると 
いろんなものが通り過ぎて行く 
標識、家、車、人、馬、人力車 

生きていると 
いろんなものが通り過ぎて行く 
常識、町、星、友人、恋人、親 

いろんなものが僕を通り過ぎて 
遥か彼方へ見えなくなって行く 

それは時間と共に動いていれば 
仕方の無い事 

仕方の無い事 

皆歩く速度も持っている時計も 
カップ麺を待つ時間さえちがう 

旅に出る時や、引っ越しする時 
何を持って何を置いて行くのか 
人によって大切なものもちがう 

同じ歩幅で同じ速度で同じ方向 
そんな偶然はなかなか起らない 

3億円事件やロッキード事件 
過疎化の村にジュリアナ東京 
あの日の恋人にいつかの友人 
めったに話す事の無かった父 

歩いていると 
いろんなものが通り過ぎて行く 

それでも、16000日も歩き続けていると 
ちょっとした奇跡が起きたりするものだ 

ふと隣を見ると 
同じスピードで 
誰か歩いている 

そんな偶然を 
人は未来と呼んだり希望と呼んだり恋と呼んだり 

僕は 
それをやっぱり奇跡と呼ぶだろう 
手を伸ばせば届く距離に誰かいて 
その人が僕にとって特別な存在で 
同じ道を同じ速度で微笑みながら 
光さす明日に向かって歩いている 

それを奇跡と呼ばずに何と呼ぼう 

どしゃ降りの月曜日 
どんより曇った火曜日 
残暑厳しい水曜日 
よく晴れた木曜日 
初雪の金曜日 
満月の土曜日 
清々しい朝の日曜日 
長く歩いていると 
偶然誰かと並んで歩く 
そんな奇跡がある事を 
僕は知っている