2014年6月25日水曜日

女の言い分(相対性理論)

月明かりの奇麗な夜
彼女は言った
「私に期待しないで」
「私に求めないで」

泣きながら
彼女はそう言った

それが彼女の出した答えなら
それが彼女の魂の叫びなら
叶えてあげたいと
男は本気で思った

好きなのに
期待しちゃいけない

好きなのに
求めちゃいけない

男はしばらく
その事以外考えられなかった
相対性理論を理解するように
ゆっくり解きほぐしていく

やがて一つの答えが見えてくる

好きなのに
期待しちゃいけない
好きなのに
求めちゃいけない

相手に期待しない好意

相手に何も求めない好意

そう

試されているのは
愛なのだ

それが彼女のいい分


男なら黙って愛を注げばいい

見返りを望まずに降る雨のように

やがて芽が出て
花が咲くその日まで






男の言い分

100回のメールは
1回の電話に勝てない

100回の電話は
1回のハグに勝てない

100回のハグは
1回のキスに勝てない

100回のキスは
1回の微笑みに勝てない

男は
ロマンチストで
バカで
スケベで
ピュアな
生き物だ

きっと
一生
女の掌で踊り続ける

それを分かった上で
全てを受け入れるのが
男だ

男と女は
考え方も
生き方も
愛し方も
話し方も
別れ方も
食べ方も
飲み方も
歩き方も
喋り方も
聞き方も
見え方も
ベッドメークの仕方も
何もかも違う

違うから
惹かれ合って
求め合って

違うから
好きになって
守りたくて

それでも
男は
届かない何かを求めて
それでも
男は
届けたい何かを乗せて

手を差し出しているのだ

君が好きだと
手を差し出しているのだ


ちょっとだけわかってほしい
かっこわるい男の本音を





2014年6月23日月曜日

宇宙とサッカーボール

どんなに雲が厚くても
その上の空は必ず青い

どんな言葉よりも真実だ

真実を伝えるのに
言葉はいらないのかもしれない

ただし
青い空の上には
光も湾曲する
暗い宇宙が横たわっている

それをロマンと感じるか
絶望と感じるか
そこが何かの分かれ目なんだと思う

希望は絶望の後にはやって来ない



サッカーに似ている

ボールは
諦めない者の前に転がって来る







2014年6月22日日曜日

決意

5羽のカモメが防波堤にとまっている
そのうちの1羽が飛び立つことを決意した
残っているのは何羽だい?

・・・・・4羽です

そうじゃない
5羽だよ

いいかい?
誤解されがちだが
決意そのものには何の力もないんだ
そのカモメは飛び立つことを決意したが
翼を広げて空を舞うまでは防波堤にとまったまま

残りのカモメとどこも違わない

人間だって同じだよ

何かをしようと決意した人と
そんなこと考えてもいない人とでは
何の違いもないんだ

ところが人は
他人のことは行動で判断するのに
自分のことは決意で判断することがよくある

しかし

行動を伴わない決意は
期待してくれている人に対する裏切りでしかない


一歩進むとは

決意することではない

ただ歩くと言う事なんだよ

前に進めば

違う景色も見えてくるしね










2014年6月20日金曜日

銀色の人生

将棋は人生の縮図
将棋は宇宙の縮図

そんな言葉を耳にした

将棋の駒は確かに多彩で
個性に溢れている

僕は何だろう?
将棋の駒に例えると
僕は何だろう?



迷わずに答えるだろう

僕は銀だ

王でも
飛車でも
角でも
金でもなく

僕は銀だ

銀は横に動けない

隣に大事な人を守って
それでも手が届かない
そんな銀だ

隣に大事な人を携えて
その人の前に出て守る
そんな銀だ

隣に大事な人と寄り添って
彼女の後ろで彼女を守る
そんな銀だ

銀は後ろに下がれない

例え負けると分かっていても
決して後ろに下がらない
そんな銀だ

後ろと横に行けない
僕は銀だ

あと何歩進んだら
僕は金になるだろう

あと何歩進んだら
君に手が届くだろう


君が望むまで

後ろに下がらず
横にも行けない
不器用な銀でいい
不器用な銀がいい

君を守れるなら
僕は銀がいい





2014年6月19日木曜日

恋電

発車のベルが鳴る
行き先はあの空の向こう


ドアが閉まる前に駆け込んだ


車内を見回すと
ぽつぽつと空いている席がある

そのうちの一つに座った

ボックスシートの向かいには
女性が座っている

なるべく気付かれないように
ゆっくりと

更にゆっくりと丁寧に
髪の毛から目、鼻、口
肩を通って胸、腰、脚
視線をゆっくり動かした


視線がくるぶしに到着する頃には


もう恋に落ちていた


次の停車駅は
「幸福」であって欲しい




きっと
恋はこうやって始まるんだと思う

偶然同じ行き先の電車に乗り
偶然同じボックスシートを選び
目の前にいる人がよく見るとタイプで

そうやっていくつもの偶然を重ねて
人は恋に落ちて行く

それを僕は奇跡と呼ぶ




あなたの向いの席は空いてますか?
それとも
もう誰か座っていますか?